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プレミアム品質のオーディオフォーマット、DSDとはなにか?

DSD(ダイレクト・ストリーム・デジタル)は、広く普及しているPCMフォーマットの代替として機能する高解像度オーディオフォーマットだ。ダウンロード用のハイレゾ音源を購入する際に、DSDに出会うことが多いだろう。以下では、DSDがどのように機能するのか、そのメリットとデメリットについて説明する。

PCMとDSDは、音楽をデジタル保存する一般的な2つの方法を表している。これは、アナログ音声をデジタルに変換し、CDに焼き付けたり、ダウンロードやストリーミングで利用できるようにするための手段だ。PCMとDSDは非圧縮フォーマットである。より一般的に使われているMP3、AAC、FLACの方がなじみがあるかもしれないが、これは音楽を(ある種の妥協の有無にかかわらず)圧縮し、より少ないスペースで保存できるようにしたものだ。

DSDはダイレクト・ストリーム・デジタルの略で、PCMはパルス・コード・モジュレーションの略だ。両技術の背景にある考え方は同じで、アナログ音声信号を可能な限り正確にデジタル化するというものだ。そのために、信号が“サンプリング”され、つまり0と1のデータに変換され、さまざまな方法で操作、録音、配信が可能なデジタルファイルが作成される。

DSDとPCMの違いとは?

PCMは、基本的にオーディオCDに、音楽が保存される方式でもある。PCMファイルの解像度は、そのビット数とサンプリング・レートによって決まる。CDでは、ファイルは16ビット、44.1kHzで保存される。音楽をより正確にデジタル化するために解像度を上げると、PCMフォーマットのハイレゾに相当する24ビット、192kHz以上まで到達することができる。

DSDは、1999年に登場した高解像度のSuper Audio CD(SACD)とともに一般的になる。この進化の結果生まれたのは、PCMのハイレゾではなく、より高品質なオーディオを目指す全く新しいフォーマットだった。DSDは16ビットや24ビットの代わりに1ビットを使用し、サンプルレートは毎秒2.8MHzだった。

2.8MHzの1ビットは、理論的にはCDの4倍の解像度に相当する。要するに、(0と1で構成される)16個のサンプルを1秒間に44,100回採取する代わりに、1個のサンプルを(やはり0か1の形で)1秒間に280万回の割合で採取するのである。

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スタジオグレードのフォーマット

PCMにさまざまな高解像度レベルがあるように、DSDも非常に高いレベルに達することができる。1ビットで2.8MHzは、DSD64と呼ばれるものに相当する。なぜ64なのかというと、44.1kHzのPCMを2.8MHzのDSDに変換する際の倍率だからだ。さらに正確なファイルを得るために、DSD128やDSD256という選択肢もある。これにより、1ビットは残るが、周波数はそれぞれ5.6MHzと11.2MHzになり、それに伴ってデジタル化の精度も上がる。DSD512とDSD1024も存在するが、すべてのデジタルプレーヤーがこれらに対応しているわけではない。

DXDはDSDとPCMの両方にリンクしている。このフォーマットにより、DSDを24ビット、384kHzのPCMに変換することができ、スタジオでの処理やマスタリングを目的とした.dxdファイルが作成される。DSFとDFFは、DSDファイルの拡張子だ。拡張子.dsfは音楽とそれに関連するメタデータで構成され、.dffは音楽のみを含んでいる。また、非圧縮のPCMファイルの拡張子は.wavと.aiff(メタデータ付き)だ。

DSDの利点と欠点

DSDの主な利点は、音楽をデジタルで保存して、聴くための最高の定義を提供することである。そのため、現存する最高品質の音楽録音を商品化するときによく使われる。DSDは確かにPCMよりも多くの記憶容量を必要とするが、HDDの記憶容量がますます大きくなっている現在では、それほど問題ではない。唯一の欠点は、愛好者以外にはあまり知られていないことだろう。

DSDファイルを再生できる機器は?

現在、多くのワイヤレスプレーヤーはDSDファイルに対応しており、通常はDSD256までとなっている。よりハイエンドの製品はDSD512の再生が可能だが、このフォーマットのファイルはかなり珍しい。DACに関しては、USB経由であれば、ネイティブDSDファイルを受け付けるものもある。また、DoP(DSD-over-PCM)と呼ばれる形式でDSDを受信できるものもあり、この場合、同軸または光SPDIF端子、またはAES(XLR)端子が必要となる。この場合、DSDはまずPCMフォーマットでデジタルプレーヤーから送信され、DAC内でDSDに再アセンブルされてからアナログに変換される。つまり、DSDクオリティのオーディオを聴く方法は多種多様なのだ。